ポリリズム

お久しぶりです。たーさんです。
ちょっとこのところ色々と忙しくて、アップデートをサボっていました。
で、 今日は、8拍子のリズムの続きを書くつもりだったのですが、ちょっと趣向を変えて、モノリズムとポリリズムについてリズムの番外編を書いてみようかと、思います。

既にご存じの方が多いとは思いますが、モノはモノラル、つまり「単一の」という事に、それに対して、「ポリ」は「複数の」という事になります。
メロディでも、「モノフォニー」と呼ばれる所謂「単旋律」と、「ポリフォニー」と呼ばれる「複旋律」がありますよね。「モノフォニー」では、主旋律が一つですが、「ポリフォニー」では、異なる複数の旋律が合わさって一つの曲を構成します。
「モノリズム」と「ポリリズム」も同じで、その曲または曲の中のフレーズを、単一のリズムパターンを使用するのか(モノリズム)、それとも、異なる複数のリズムパターンを合わせて構成するのか(ポリリズム)ということになります。

アラブのリズムは、一般的には殆どがモノリズムです。特に、エジプトやトルコの王道のリズムは、モノリズムばかりです。それ故に、ノリ易いとも言えます。
ただ、ではポリリズムは無いのかと言うとそんな事はありません。トルコでもロマ系のリズムであったり、サハラ砂漠周辺のベルベル系のリズムには、ポリリズムが採用されています。

例えば、ローマン9と呼ばれる9/8のリズムや、ローマン9を9/4にしたアウルロマでは、同じ一小節を9拍では無く6拍で刻むリズムと一緒に演奏される事があります。しかも、頭の位置がずれています。
実際に、パターンを書いてみましょう。9拍子で書くと、以下の2つを同時に演奏する事に成ります。

|D-|tk|D-|tk|T-|tk|tk|T-|tk|
|--|K-|-K|--|K-|-K|--|K-|-K|

上の例では、9拍子に合わせて書いたのですが、下側のパターンは、

|--|K--|K--|K--|K--|K--|K|

とも、書けます。これは、拍の頭がフレーズの頭と一致しない6拍子と言えますよね。ノリ的には、6拍子のパターンの3つ目のKと9拍子のパターンの5拍目のTで両者のアクセントが重なるので、あたかも2+1/3拍前出しした弱起の6拍子みたいな感じになります。

因みに、一人で演奏する時は、下のように簡略化すると割と簡単にノリが出ます。

|D-|K-|DK|--|Tk|kT|kk|T-|tK|

このリズムは、名前の通り、ロマ系のリズムで、トルコの他にも、イスラエルのセファルディ系の演奏でも聴く事があります。セファルディの人々は、イラン・イラクから、トルコ、バルカン半島を経てスペインに渡った後に分散して、最終的にイスラエルに帰還しているので、移動の経路がロマの人々の経路(バルカン半島からスペイン)と重なっていて、結構影響を受けているようです。

以前に紹介したYshai Aftermanの記事の3曲目の”Hashevach”という曲がこのリズムに該当すると思います。

さて、ベルベル系では、モロッカンという6/8のリズムを良く聴くのですが、これもポリフォニックで演奏されます。リズムの基本は、

|D-|P-|P-|D-|-P|-P| とか
|D-|PP|-P|D-|--|PP|

になるのですが、良くこれに、ハンドクラップで

|--K|--K|--K|--K|

という4拍子を被せて来ます。初めは、このハンドクラップのリズムパターンが何だこれ、みたいな感じなのですが、聞き慣れてくると、これがないと寂しい感じがしたりもします。

こちらは、未だ紹介していない、Tinariwenというベルベル系のトゥアレグ族のバンドのChaghaybouという曲ですが、モロッカン系の6拍子と4拍子の組み合わせになっています。このほかにも、結構マグレブ方面では、このモロッカンのポリリズムを耳にする事が多いですね。

どうでしたか? ポリリズムの曲は、モノリズムの曲に比べて、一瞬ノリにくいなと感じるかも知れませんが、結構ハマったりもしますよ。ちょっとわかり辛いリズムがあったら、それはポリリズムかも知れません。

では、また。

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